京都東山「布団着て 寝たる姿や 東山」
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京都の町の東に横たわる峰々を、東山といわれます。
上の写真でも、遠くに見える山並みがそうですね。
山といっても、さして高くはありませんので、気軽に
登ることができますが、あまり、「登ったぞ!」という人も
いないようで、どちらかといえば、眺めて楽しむ山でしょう。
この東山の姿を、江戸中期、松尾芭蕉の弟子である服部嵐雪が
「布団着て寝たる姿や東山」と『枕屏風』に詠みました。
なるほど、そんな姿に見えますね。
また、東山といえば、「東山三十六峰 草木も眠る丑三つ時」
というフレーズも有名です。
これは、無声映画の時代、活動弁士という人が、時代劇の語り
の中で使った言い回しで、「あたりの静寂を破り、突如響き渡る
剣戟の響き」などと、続いたものです。
この場合、丑三つ時というのは、広辞苑によりますと、
「丑の時を四刻に分ちその第三に当る時。
およそ今の午前二時から二時半」
ということです。そんな深夜に、斬り合いとなれば、そりゃあ、
うるさかったでしょう。まさに「あたりの静寂を破る」もので、
物騒な話です。
「月はおぼろに 東山」と始まるのは、祇園小唄です。
祇園とは、仏教から出た言葉で、お釈迦様が説法された場所の
一つに、祇園精舎、というところがありました。平家物語にも、
「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」と語られています。
というわけで、上の動画。
その祇園の、舞妓さんの歌と踊りですが、こういう楽しいひと
時は、確かに俗世の喧騒を忘れさせてはくれますが、一夜明ければ、
また儲かった、損した、という、露の世に逆戻り、まさに「諸行無常」
と、知らされるばかりです。