湖水に映える さくら並木 海津大崎
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高島市マキノ町の、海津大崎は、桜の名所として、4月中旬のシーズン
になると、近畿一円からの見物客でにぎわいます。
山の緑、湖水の青、そして湖岸のピンクと、鮮やかな色彩は、琵琶湖八景
に数えられています。
この桜は、昭和6年、現地で道路修理の作業員をしていた、宗戸清七さんが
重労働の合間に、何か楽しみがなかろうかと考え、自費で桜の苗木を用意し、
道沿いに植えたことから始まります。
3年後に、美しい花を咲かせるようになると、地元の青年団なども協力し、
やがて昭和11年には、当時の海津村(後の、高島市マキノ町)が、村を挙げ
て植樹を行うようになり、同年の大崎トンネルの開通を機に、できたものです。
以後、豪雪や土砂災害にもかかわらず、官民一体で護り続けられ、今でも
桜の名所100選に選ばれる美しさを、保ち続けています。
昭和6年から11年といえば、戦争に向かう暗い時代でありましたが、
こういう現代にも続く美しい事業も、行われていたのですね。
滋賀県=近江の商人たちは、昔から、「三方良し」ということを言います。
「買い手良し、売り手良し、世間良し」売る人も、買う人も、世間の人も、
みんなが喜び、幸せになれる、そういう商いをしなければならない、決して
自分だけ美味い汁を吸おうなどと、思ってはならない、ということです。
これは、仏教でいわれる「自利利他」他を利する(幸せにする)ままが、
自分も利する(幸せになれる)という教えに合致するものです。
宗戸清七さんは、自分も、一緒に作業する同僚も、桜を見て癒され、さらに
後の世の多くの人が、桜を眺めて楽しめる、まさに「三方良し」「自利利他」
のお仕事をされたことになりますね。
さすが、仏法の盛んな近江の方なればこそと、思わずにおれません。