万葉の里・高岡 古城公園の桜
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富山県高岡市の古城公園は、壮大な天守閣などはありませんが、
春は桜の名所として、多くの人が訪れます。お堀には観光船も走り、
水上からの眺めも、なかなかです。
高岡市といえば、富山県第二の都市ですが、歴史は古く、北部の
伏木に、かつて越中の国府がおかれていました。ここに、万葉歌人
大伴家持(718-785)が駐在していたことがあり、この地で220首
余りの歌を詠んでおります。
その中の一首。
世間は 数なきものか 春花の
散りの乱ひに 死ぬべき思へば ~ 大伴家持
<訳>
世間とは数え上げられないくらい、なんとはかないものか。
春の花が散って行くことに紛れて、死んでいくべきことを思えば。
春の花、というのは、桜なのか、梅なのか、花の命に、人間の命の
はかなさを、重ねて見たのでしょう。
さて、この縁で、毎年「万葉集 朗詠の会」が催され、この古城公園の
舞台で、多くの市民が参加して、和歌を朗詠します。これもまた、夏の
風物詩になっています。
湖水に映える さくら並木 海津大崎
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高島市マキノ町の、海津大崎は、桜の名所として、4月中旬のシーズン
になると、近畿一円からの見物客でにぎわいます。
山の緑、湖水の青、そして湖岸のピンクと、鮮やかな色彩は、琵琶湖八景
に数えられています。
この桜は、昭和6年、現地で道路修理の作業員をしていた、宗戸清七さんが
重労働の合間に、何か楽しみがなかろうかと考え、自費で桜の苗木を用意し、
道沿いに植えたことから始まります。
3年後に、美しい花を咲かせるようになると、地元の青年団なども協力し、
やがて昭和11年には、当時の海津村(後の、高島市マキノ町)が、村を挙げ
て植樹を行うようになり、同年の大崎トンネルの開通を機に、できたものです。
以後、豪雪や土砂災害にもかかわらず、官民一体で護り続けられ、今でも
桜の名所100選に選ばれる美しさを、保ち続けています。
昭和6年から11年といえば、戦争に向かう暗い時代でありましたが、
こういう現代にも続く美しい事業も、行われていたのですね。
滋賀県=近江の商人たちは、昔から、「三方良し」ということを言います。
「買い手良し、売り手良し、世間良し」売る人も、買う人も、世間の人も、
みんなが喜び、幸せになれる、そういう商いをしなければならない、決して
自分だけ美味い汁を吸おうなどと、思ってはならない、ということです。
これは、仏教でいわれる「自利利他」他を利する(幸せにする)ままが、
自分も利する(幸せになれる)という教えに合致するものです。
宗戸清七さんは、自分も、一緒に作業する同僚も、桜を見て癒され、さらに
後の世の多くの人が、桜を眺めて楽しめる、まさに「三方良し」「自利利他」
のお仕事をされたことになりますね。
さすが、仏法の盛んな近江の方なればこそと、思わずにおれません。
井伊家の居城 彦根城 ひこにゃんもいるよ!
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大津が西の中心なら、県東部の中心は彦根市です。
幕末の名大老・井伊直弼で有名な、井伊家の居城が、彦根城で、JRの
駅を降りると、目の前の道をまっすぐ行けば、お堀に囲まれた彦根城が
そびえています。
夜桜もキレイだったのですが、写真はちょっとぶれてしまって残念!
さて、彦根と聞くと、「ひこにゃん」を思い出す、ゆるキャラファンも
多いのでは?彦根城築城400年記念行事に際し、登場したキャラクター
ひこにゃんは、全国のご当地キャラの中でも、群を抜いて人気があります。
今でも、週末には、お城の近くの出没しているとか。
さて、このひこにゃんは、赤いカブトをかぶっています。これは「井伊
の赤備え」に由来しています。
かつて甲斐の国・武田軍団で有名をはせた、甲斐の赤備え。赤く染め抜いた
武具は、戦場でその強さの象徴でもありました。信玄が没し、武田家滅亡
の後、その家臣団が配属されたのが、井伊直政の配下でした。井伊家でも
この赤備えを用い、後に「井伊の赤備え」と言われるようになりました。
そういう400年の伝統をふまえて、ひこにゃんも、赤いカブトを乗せ
ているのでした。ただ可愛いだけじゃ、ないんですね。歴史の勉強にも
なります。
湖国さくらの旅 大津~三井寺・石山寺
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京都の旅を終えて、次は東隣の、湖国・滋賀県です。日本一の淡水湖、
琵琶湖を中心とする国ですので、湖国といわれます。
昔は近江の国、と呼ばれました。琵琶湖を近江(おうみ)、はるか東の
浜名湖を遠江(とおとうみ)と言われていました。
昔、京都に都があったので、その京から見て、近い、遠い、と表現して
いるのです。当然ながら、東京から見ると、逆ですね。
滋賀県は、地図で見ると、琵琶湖が大きいので、面積の半分くらいは、
琵琶湖なのではないか、と思う人もありますが、実際は県土の6分の1
に当たります。
さて、湖国のさくらの旅は、先ず県都・大津市から始めましょう。
三井寺、そして石山寺の桜です。
三井寺は、正式には「長等山園城寺(ながらさんおんじょうじ)」といい、
天台寺門宗の総本山です。浄土真宗八代目の蓮如上人が、しばらくとどまら
れてたこともあり、知られています。
石山寺は、真言宗の寺院で、その名前は、本堂が建っているのが、国指定
の天然記念物「珪灰石」の上なので、石の山の上にある寺、石山寺と言われ
るようになりました。
紫式部が「源氏物語」の着想を得たところ、としても知られています。
この二つの寺の境内にある桜が、たいへん美しく、また秋の紅葉も見事で、
観光客が絶えません。
枝垂れ桜の名所 円山公園
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京都市東山区の円山公園(圓山公園)は、枝垂れ桜で有名です。
また、夜間の照明にはえる、夜桜も、多くの人に親しまれています。
昼とは違った、妖艶な風情が、いかにも歴史と雅の古都に、ふさわしい
のではないでしょうか。
もともとは隣接する八坂神社の一部だったのですが、明治以後、国に
納められ、明治19年公園に指定、大正2年には、小川治兵衛氏によって
池泉回遊式日本庭園として整備され、今日に至っています。
ここは、市民も、国内、国外の観光客も、次々と訪れる場所ですから
ゆっくり座り込んで花見の宴、というわけにはいきませんが、朝になると
なぜかゴミが散乱しているのが、どうもいただけません。くれぐれもゴミを
散らさないよう、お互い環境美化につとめたいものです。